外務省のW元理事官の財テク会社役員に深谷衆院議員の元秘書

1988/10/18毎日新聞
外務省のW元ジュネーブ代表部理事官(30)の私設ファンドをめぐる「外交官財テク」問題にからみ、W元理事官が退職後、ウォルト・ディズニーの絵やメダルを財テク商品として売り出そうと東京と大阪に販売会社など3社を設立、うち一社の役員に深谷隆司・衆院議員(53)=東京8区、自民=の私設秘書2人を据えるなどして大量販売したあげく、放慢経営で破たん、買い戻しの約束が守れず秘書が購入客に弁償を始めていることが17日、毎日新聞社の調べでわかった。深谷議員は「全く知らなかった」として2人を先月、引責辞任させたが、W元理事官は同議員の後援会に入っていたこともあり、その道義的責任が問われそうだ。

役員として絵を売りさばき、辞めさせられたのは深谷議員の男性私設秘書(30)と女性私設秘書(38)。
関係者の話を総合すると、W元理事官は、深谷議員がジュネーブでの国際会議に出席したのをきっかけに、2人の私設秘書と知り合った。
W理事官は退職後の昨年12月、大阪で投資情報サービス会社「グローバルプランナー」を設立して社長となり、今年初めから、米国で財テク商品として出回るようになったディズニー映画のセル画(セルロイドに描いた絵)と、ディズニーメダルを大量輸入し、売り出すことを計画。今年3月ごろ、2人の秘書に「セル画を売るための会社を作りたい。東京には知人がいないから、役員になってくれ」と依頼し、男性秘書には、購入者を紹介してくれた場合売り上げの10%を渡し、女性秘書には月給5万円を払うという条件を提示。2人が取締役を引き受けたため4月、東京渋谷区に「ワールド・ファイン・ギャラリー」を設立。
W元理事官は同じころ大阪に中継げ会社を設立。ワールド社などに「1年後に倍の金額で買い戻す」との特約条項を設けてセル画やメダルを売った。
男性秘書は個人投資用として計150万円分のセル画とメダルを購入したほか、知人ら3人に「値上がりすれば買い戻す」と約束して、計435万円分を販売。女性秘書も個人で187万8,000円分を購入した。

ところが、8月から9月にかけ、W元理事官はグローバル社などと連絡を絶つようになり、ワールド社も閉鎖状態となった。このため、セル画、メダルの買い戻しが不可能となり、9月中旬、2人の秘書は、この件で深谷議員に呼び出され、初めて経過の一部を説明。同議員は「議員事務所で働く人間として許し難い行為」と、引責辞任させた。
深谷議員は「全く知らなかった。お粗末で、嘆かわしい。私自身、株はやっていない。W元理事官には怒りを覚える」と話している。